もうすぐ父の日。

「お父さんに感謝を伝えよう」

そんな言葉を耳にする季節です。

でも、子どもにとってお父さんとはどんな存在なのでしょうか。

たくさん遊んでくれる人。

仕事をしている人。

優しい人。

もちろん、それも大切です。

けれど、モンテッソーリ教育には「父親はこうあるべき」という考え方はありません。

大切なのは、子どもを取り巻く環境です。

その中で、お父さんという存在、そして「父性」と呼ばれるものには、どんな意味があるのでしょうか。

「母性」と「父性」は対立するものではない

私は、「母性は今を守る愛情」「父性は未来を信じる愛情」という考え方に共感しています。

母性と父性と聞くと、「母親が母性」「父親が父性」と思われるかもしれません。

でも、本来はそうではありません。

一人の人の中にも、母性と父性の両方があります。

そして、どちらかが正しいというものでもありません。

今の安心を守る愛情。未来の成長を信じる愛情。

子どもには、その両方が必要なのだと思います。

「そのままでいいよ」と抱きしめてくれる愛情も、「大丈夫、やってごらん」と背中を押してくれる愛情も、どちらも子どもを思う愛情です。

私は、母性とは、ありのままを受け入れる愛情。父性とは、時には厳しさを伴いながらも、子どもの未来を信じる愛情。

そんなイメージを持っています。

母性だけでは、子どもは育たない?

子どもが転びそうになったら手を出したくなる。失敗しないように先回りしたくなる。危ないことから守りたくなる。

それは愛情です。

毎日子どものそばにいるからこそ、「今、この子が傷つかないように」という気持ちが強くなるのは自然なことだと思います。

転びそうな子どもを守ろうとする母親と、挑戦を見守る父親を描いた父性と母性のイラスト

でも、子どもは失敗しながら育っていきます。

自分でやってみる。うまくいかない。また挑戦する。その繰り返しの中で、自立へ向かっていきます。

だから、「大丈夫。やってみよう」「失敗しても大丈夫」「この子ならできる」と、未来を信じて見守る視点も必要なのだと思います。

そして、それは躾にもつながっていきます。

私は、躾とは言うことを聞かせることではなく、未来の子どもを守ることだと思っています。

  • 挨拶をすること。
  • 人を傷つけないこと。
  • 順番を待つこと。
  • 「ありがとう」や「ごめんなさい」を伝えること。

今の子どもにとっては、面倒だったり、やりたくなかったりすることもあります。

それでも、「将来、人との関わりの中で困らないように」「幸せに生きていけるように」という願いを込めて伝えていく。

そこには、「今」を守る愛情とは少し違う、「未来」を守る愛情があるように思います。

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モンテッソーリ教育が大切にしているのも「未来を信じること」

モンテッソーリ教育では、子どもを一人の人格として尊重し、自分で育つ力を信じることを大切にしています。

🔗「子どもには自分で育つ力はある」というモンテッソーリ教育の考え方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

失敗と挑戦を繰り返しながら成長する子どもと見守る大人を描いたモンテッソーリ教育のイラスト

すぐに手を出さない。失敗を取り上げない。時間がかかっても待つ。

それは放任ではありません。

「この子には育つ力がある」と信じているからです。

今を守ることも大切。未来の自立を信じて待つことも同じくらい大切。

その姿勢は、父性と呼ばれる愛情と重なる部分があるように感じます。

父性は父親だけのものではない

父性というと、お父さんを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、お父さんがその役割を担うこともあります。

でも、「大丈夫、やってごらん」と背中を押してくれる祖父母。

子どもの可能性を信じて待ってくれる先生。

見守ってくれる地域の人。

そんな存在の中にも父性はあります。

そして、お母さんの中にも父性はあります。

守る愛情と、信じる愛情。

その両方があってこそ、子どもは安心して世界へ向かっていけるのかもしれません。

子どもは「生き方」を吸収している

子どもは、お父さんと「どれだけ遊んだか」だけを見ているわけではありません。

お母さんに「ありがとう」と伝える姿。
困っている人を助ける姿。
仕事に向き合う姿。
失敗しても立ち上がる姿。
家族を大切にする姿。

そうした日々の姿を、子どもは静かに吸収しています。

仕事や感謝、人助けなど大人の姿を見つめる女の子を描いた吸収する精神のイラスト

モンテッソーリ教育でいう「吸収する精神」は、言葉や知識だけでなく、人の生き方にも向けられているのだと思います。

だからこそ、父親に限らず、子どもの周りにいる大人の生き方そのものが、子どもにとっての環境になります。

ワンオペ育児の時代だからこそ

今は、お母さんが子育ての大部分を担っている家庭も少なくありません。

すると、「危ないからやめよう」「失敗しないようにしてあげよう」という気持ちが強くなり、親子の世界が小さくなってしまうこともあります。

だからこそ、「やってみよう」「失敗しても大丈夫」「この子を信じてみよう」という視点を持つ人が、もう一人いることには大きな意味があります。

お父さん、お母さん、祖父母、先生など周囲の大人に見守られながら安心した表情を見せる女の子のイラスト

それは、お父さんかもしれません。祖父母かもしれません。先生や周りの大人かもしれません。

子どもの育ちには、いろいろな人のまなざしが必要なのだと思います。

まとめ

子どもの育ちに必要なのは、完璧なお父さんではありません。

そして、母親だけが頑張ることでもありません。

今を守る愛情。未来を信じる愛情。

その両方の中で、子どもは安心して成長していきます。

モンテッソーリ教育が大切にしているのも、「この子には自分で育つ力がある」と信じること。

父性とは、厳しさや怖さではなく、時には厳しさを伴いながらも、子どもの未来を信じて待つ愛情なのかもしれません。

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🔗「ありがとう」は教えるもの?

おすすめの三冊🌸
📖『愛するということ』
愛とは感情ではなく、育てるもの。母性愛と父性愛についても書かれていて、「ありのままを受け入れる愛」と「成長を願う愛」の違いを深く考えさせられる名著。「父性とは?」「愛情とは?」を考えたい人に。

📖『子どもへのまなざし』
安心できる土台と、自立へ向かう成長。優しく読みやすく、親の心も軽くしてくれる一冊。「受け入れる愛情」と「見守る愛情」が自然と伝わってきます。

📖『父性の復権』
父性についてさらに深く知りたい方には、『父性の復権』(河合隼雄)もおすすめです。父性とは父親だけのものではなく、人を社会へ送り出し、成長を信じる働きであることを考えさせられる一冊です。

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