楽しく安全に!モンテッソーリ式「はさみ」の始め方|運動を育てる日常生活の練習
子どもがはさみに興味を持ち始めると、
「もう始めてもいいのかな?」「まだ早いかな?」
と迷う方も多いのではないでしょうか。
はさみは危険な道具というイメージがありますが、モンテッソーリ教育では子どもの成長を大きく支える日常生活の練習の一つとして大切にされています。
しかし、はさみは早く始めれば良いというものではありません。
子どもが「今やりたい」と思うタイミングや、その子に合った順番で取り組むことが大切です。
この記事では、モンテッソーリ教育の考え方をもとに、
- はさみを始める時期
- 始めどきのサイン
- モンテッソーリ式の進め方
- おうちで大切にしたいこと
を詳しく紹介します。
はさみはいつから始める?
まず気になるのが、「何歳から始めればいいの?」ということです。
一般的には、2〜3歳頃から始めることが多いと言われています。
しかし、モンテッソーリ教育では年齢よりも子どもの発達や興味を大切にします。
同じ2歳でも、「まだ早い子」もいれば、「もう始めたい子」もいます。
年齢だけでは判断できません。
そのため、「敏感期のサイン」が見えてきたら始めることがおすすめです。
年齢より「今やりたい」が大切
子どもは、「やってみたい!」と思った時に、一番よく吸収します。
逆に、大人が「そろそろ練習しよう」と思っても、本人に興味がなければ続かないこともあります。
だからこそ、子どもの様子をよく観察することが大切です。

はさみは小さな動きの積み重ね
子どもは、ある日突然はさみを使えるようになるわけではありません。その前には、たくさんの「できた!」があります。
①「握る」ができるようになる
赤ちゃんは最初、物を握ることから始まります。
- ガラガラを握る。
- 積み木を持つ。
- スプーンを持つ。
こうした経験が、指先の力を育てています。
②「開く」「閉じる」を覚える
はさみでは、親指だけを動かしたり、力を調整したりする必要があります。
そのため、
- 洗濯ばさみ
- トング
- スポイト
など、開閉する遊びも大切な経験になります。
③ 両手を別々に動かせるようになる
はさみは、片方の手ではさみを動かし、もう片方で紙を支える活動です。
左右の手が違う役割をするため、とても高度な活動なのです。
だからこそ、
- シール貼り
- ひも通し
- ビーズ通し
なども、はさみにつながる大切な経験になります。

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▶︎運動の敏感期とは?
▶︎日常生活の練習とは?
はさみを始める3つのサイン
では、どんな姿が見られたら始めどきなのでしょうか。年齢ではなく、次の3つを目安にしてみましょう。

①「はさむ」動きができる
洗濯ばさみやトング、スポイト。手をグーパーできる。
こうした動きが見られるようになると、はさみの準備が整ってきています。
② 両手を別々に使える
シール貼りやビーズ通しなど、左右の手が違う役割をする活動ができるようになってきたら、はさみにも挑戦しやすくなります。
③ 約束を理解できる
はさみは便利な道具ですが、使い方を間違えると危険です。
例えば、
- 座って使う
- 人に向けない
- 歩きながら使わない
など、簡単な約束を理解できることも大切なサインです。
モンテッソーリ式「はさみ」の進め方
はさみの活動は、「切ること」が目的ではありません。
子どもが自分の手を思い通りに動かせるようになり、「自分でできた!」という喜びを積み重ねることが大切です。
そのため、モンテッソーリ教育では、一人ひとりの発達に合わせて少しずつ難易度を上げていきます。
✂️まずは「提示」から始めよう
子どもに「やってみて」と渡す前に、大人が静かに見本を見せることをモンテッソーリ教育では提示といいます。

提示では、たくさん説明する必要はありません。
むしろ、言葉は最小限にして、子どもが手の動きに集中できるようにします。
例えば、
- ゆっくりとはさみを持つ
- 親指を小さい穴へ入れる
- 人差し指と中指を大きい穴へ入れる
- 「パー」「グー」とゆっくり開閉する
- 紙を切る
という一連の流れを、丁寧に見せましょう。
子どもは、大人の動きをよく観察しています。
何度も説明するより、一度ゆっくり見せる方が伝わることも少なくありません。

🌱Step1 単切り(1回で切る)
最初は、幅1〜2cmほどに切った画用紙を用意し、一度だけ「チョキン」と切るところから始めます。
最初の目的は、「切る感覚を知ること」です。上手に切ることではありません。
🟡線なしから始める
まずは自由に切ることを楽しみましょう。紙が切れる音や感触を味わうだけでも十分です。
🟡線ありへステップアップ
慣れてきたら、太い線を書き、「線を狙って切る」ことに挑戦します。
右利きなら左側に持つ部分を残しておくと、紙を支えやすくなります。

🌿Step2 連続切り
「チョキン」ができるようになったら、今度は「チョキ、チョキ」と続けて切る練習です。
ここでは、はさみだけではなく、紙を持つ手も重要になります。
🟡直線から始める
最初は真っすぐな線を切ります。
点を書いておくと、「グー、パー」のタイミングが分かりやすくなります。
🟡少しずつ長くする
最初から長い紙ではなく、少しずつ距離を伸ばしていきましょう。
子どもが「できた!」を積み重ねることが何より大切です。

🌿Step3 曲線を切る
直線を切れるようになったら、今度は紙を回すことを覚えていきます。
🟡紙を動かすことを覚える
はさみを無理に動かすのではなく、紙を少しずつ回すことで、曲線も切れるようになります。
🟡簡単な曲線から
「ゆるやかな曲線」→「山形」→「波線」→「ギザギザ」というように、少しずつ難しくしていきましょう。

🌸Step4 図形やイラストを切る
最後は、三角形、四角形、丸、動物などを切り抜く活動へ進みます。
この頃になると、はさみだけではなく、
- 紙を回す力
- 集中力
- 最後までやり切る力
も育っています。
🟡最初はガイド線があると安心
いきなり複雑な形ではなく、はさみを入れる位置に印を書いてあげると、子どもも取り組みやすくなります。

🌷子どものペースを大切にしよう
「次のステップへ進ませなきゃ」と焦る必要はありません。
単切りを何十枚も楽しむ子もいれば、すぐに連続切りへ進む子もいます。
大切なのは、順番よりも、子どもが夢中になっているかどうか。
同じ活動を何度も繰り返すことも、モンテッソーリ教育では大切な学びです。
「もうできるから次へ」ではなく、「まだやりたい!」という気持ちを大切に見守ってあげましょう。
おうちではさみを楽しむ5つのポイント
ここまで、モンテッソーリ式の進め方を紹介してきました。
最後に、おうちで取り組むときに意識したいポイントを5つ紹介します。
① 必要なものはトレイにまとめる
モンテッソーリ教育では、活動に必要なものを一つのトレイにまとめます。

例えば、
- はさみ
- 紙
- 小さなゴミ箱
- のり(必要なら)
を一緒に準備しておくことで、子どもは「自分で準備して、自分で片付ける」ことができます。

活動そのものだけでなく、始めるところから終わるところまでが学びです。
② 子どもに合った道具を選ぶ
子どもの手に合わないはさみは、活動そのものが難しくなってしまいます。
選ぶポイントは、
- 子どもの手の大きさに合っている
- 切れ味が良い
- 開閉が固すぎない
- 利き手に合っている
ことです。
安全だからとプラスチック製のはさみを選ぶこともありますが、切れにくいことで余計な力が入り、正しい動きを覚えにくいこともあります。
安全に配慮しながら、子どもが使いやすいものを選びましょう。
③ ルールは最初に伝える
はさみは便利な道具ですが、正しく使うことが大切です。
例えば、
- 座って使う
- 人に向けない
- 持ち歩くときは刃を閉じる
- 終わったら元の場所へ戻す
など、シンプルな約束を最初に確認しましょう。
何度も注意するよりも、最初に約束を共有しておく方が、子どもも安心して活動できます。

④ 「できた!」を急がない
子どもは、一人ひとり成長のスピードが違います。
単切りを何週間も楽しむ子もいれば、すぐに曲線へ進む子もいます。
「まだ直線なの?」ではなく、「今はここが楽しいんだね。」という視点で見守ることが大切です。
⑤ 上手に切るより、夢中になれることを大切にする
切り口が少し曲がっていても、線から少しはみ出していても、大丈夫。
子どもは、刃先を見ながら、力を調整して、何度も挑戦しています。
その経験そのものが、集中力や自立につながっていきます。

はさみが育てる5つの力
はさみは、工作をするためだけの活動ではありません。子どものさまざまな力を育ててくれます。
🌷手指の巧緻性
親指・人差し指・中指を別々に動かすことで、指先の器用さが育ちます。
これは、鉛筆を持つことや、お箸を使うことにもつながります。
🌷左右の手を協力して使う力
片方の手ではさみを動かし、もう片方で紙を支える。
左右で違う動きをする経験は、日常生活でも欠かせません。
🌷集中力
刃先を見ながら、力を調整し、紙を切り進める。
子どもは驚くほど集中しています。この「夢中になれる経験」が、その後の学びの土台になります。
🌷順序立てて考える力
はさみの活動には、「準備」→「切る」→「片付ける」という一連の流れがあります。
活動の順番を経験することは、生活全体の秩序感にもつながります。
🌷自立する力
「自分で切れた!」という経験は、子どもに大きな自信を与えます。
少しずつ、「自分でできる」が増えていくことが、心の自立にもつながっていくのです。

はさみは生活につながる活動
はさみは、工作だけのためにあるわけではありません。
例えば、
- お菓子の袋を開ける
- テープを切る
- お花を切る
- 料理で食材を切る
- 折り紙や制作を楽しむ
生活の中には、「切る」場面がたくさんあります。
だからこそモンテッソーリ教育では、はさみを日常生活の練習として大切にしています。
子どもは「工作をしている」のではなく、生活に必要な力を育てているのです。

まとめ
はさみは、「紙を切る」ことが目的ではありません。
子どもは、指先を思い通りに動かし、左右の手を協力させ、集中しながら、何度も挑戦しています。
そして、その積み重ねが、「自分でできた!」という自信になり、未来の自立へとつながっていきます。
うまく切れるかどうかよりも、夢中になって取り組んでいる姿を、ぜひ大切に見守ってあげてくださいね。
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