今日もうちの子は我儘ばっかり。我慢できる子になってほしいけど、つい怒って強制的になっちゃう。どうしたら良いんだろう?
きつねちゃん、わかるよ〜。怒らなくても子どもに自分で我慢してほしいよね。
ほしい物を見つけると「買って!」の連呼。公園へ行けば、約束の時間を過ぎても帰りたがらない。宿題はやらずにYouTubeばかり。
もっと聞き分けがよくて我慢強かったら、毎日こんなに怒らないで済むのに・・・。
今回は、そんなお悩みを抱えている方向けに、「自分で我慢できる子どもを育てる秘訣」を紹介します。
自分で我慢できる子どもとは?
一般的に、我慢する力は4歳ごろから育つと言われています。2〜3歳は脳の発達が未熟なため、我慢する理由は理解できても、感情をコントロールして我慢することはまだ完璧にはできません。この時期に見られるイヤイヤ期や癇癪は、『“自我”と“抑制”の葛藤期』ともいえるでしょう。
我慢する力を育むには、他者から言われたことに従って我慢することがスタートです。しかし、この力だけでは「聞き分けの良い、忍耐強い子」が育ち、親が指示しないとできなくなってしまいます。“自分で”我慢するためには、自分で決めた目標達成のために、自分で課したルールに基づいて我慢できる『自制心』が重要となります。

我慢する力の土台と、「自制心」の築き方を紹介していきます。
我慢する力の土台を築く
感情や欲求をコントロールし行動を自制するためには、我慢する経験の積み重ねが大切です。まずは、物事の善悪とルールを大人から学び、「他者のため」「安全のため」に、自分の欲求や感情を抑える練習をしましょう。
<我慢する力を築くポイント>
- 間違った行為はきちんと叱る
- 良い行いには感謝を伝える
- 親が模範となる
- 子どもの感情や欲求を満たす
①間違った行為はきちんと叱る
社会のルールとは、「他者のため」「安全のため」、そして社会の一員である「自分のため」にも守る義務があります。行為の善悪が明確で、自分の感情や欲求よりもルールを優先しなければいけない理由が、子どもにも理解しやすいです。
道徳に反することや危険な行動といった、社会のルールを逸脱する間違った行為は、大人が「間違っている」と伝えなければいけません。誰かが「悲しい」「辛い」「痛い」など、マイナスな事象が生じたことも、きちんと伝えることが重要です。

ここで、叱り方のポイントを3点挙げます。叱り方を誤ると、コントロールが他者に依存してしまうリスクがあるため、正しい叱り方を知ることも非常に重要となります。
子どもの言い分があることを理解する
子どもが間違った行為を取る裏側には、子どもの言い分が必ずあります。
(知らなかった)や(忘れていた)など単純な理由もあれば、(関心を向けてほしかった)といった、複雑な理由もあります。そのため、子ども自身も自分の言い分が分からなかったり、上手く説明できなかったりもします。また、(やってみたらどうなるか知りたかった)など、大人視点では賛同できない言い分もあるかもしれません。
まず大切なことは、叱ったり否定したりするのは『行為』だけです。子どもが(やってみたい)と好奇心を抱くことは自由です。子どもの感情や欲求には耳を傾け、大人が押さえつけないようにしましょう。
また、子どもの言い分を状況から推測し、“事実”だけではなく“真実”を見ることも大切です。間違った行為だけを切り抜き、頭ごなしに叱ることは避けましょう。
「悪い子」とは言わない
叱り始めると、「行為の善悪」だけではなく、「人の善悪」にもつい言及したくなりますよね。何回言っても同じ過ちを繰り返したり、自分の道徳に逸脱する行為で子どもに失望したり、そんな時に「悪い子!!」と言いたくなる気持ちは理解できます。
しかし、「悪い行為をした子ども」=「悪い子」と、行為と人の価値が結びついてしまうよう発言はやはり危険です。子どもは「叱られる=親から見放されること」と思い込み、意思決定ができなくなったり、失敗に対する捉え方が歪んでしまったりするリスクがあります。
叱ったり否定したりするのは、『行為』だけであることが重要です。
強制は、間違った行為をしている最中だけ
「やってはいけないこと」を守らせるためには、ある程度の強制が必要です。例えば、子どもがハサミを振り回していたら、強制してでも奪い返さなければいけません。まずは安全な環境に整えた上で、子どもと対話をする必要があります。
重要なポイントは、大人の強制が必要となるのは「子どもが間違った行為をしている最中だけ」ということです。その後、子どもが理解して、自分の感情や欲求、そして行動をコントロールできるかどうかは子ども次第です。親ができることは、環境を整え、伝え導くことだけだと意識することが重要です。
②良い行いには感謝を伝える
子どもの良い行いに対しては、褒めるだけではなく感謝を伝えましょう。
「ありがとう!」「嬉しい!」「助かったよ!」という感謝の言葉は、我慢を喜びに昇華させます。このポジティブな経験は、我慢の原動力ともなります。

③親が模範となる
子どもは、身の振る舞いを周りの大人から学びます。子どもに挨拶をしてほしいなら、親が挨拶をする。いじめをしてほしくないなら、親も人の悪口を言わない。
言葉での説明だけではなく、親が模範を見せ、子どもが模倣できるようにしましょう。

④子どもの感情や欲求を満たす
子どもの我慢する力を育むためには、ありのままのの価値を認めることも大切です。子どもが成長するにつれて、子どもの行動に目が行きやすくなり、その評価ばかりしてしまいます。
しかし子どもが最も求めていることは、親から愛されることです。お菓子や物だけではなく愛情を与え、子どもの感情や欲求を満たすことも我慢する力を育むためには必要不可欠です。

目標達成のための我慢を学ぶ
ここから、自分で決めた目標を達成するために我慢する「自制心」の育み方を紹介します。
<自制心の育み方のポイント>
- ルールのある遊びで「我慢」を楽しむ
- 自分でルールを決める
- 自分で目標を決める
①ルールのある遊びで「我慢」を楽しむ
欲しいものを買ってもらえない、まだ遊びたいけど帰らなければいけないといった「我慢」は、忍耐のイメージが強いでしょう。しかし、「我慢」のすべてが苦しいわけではありません。例えば、滑り台の順番待ちは、「我慢」の先に楽しさがあります。順番を待っているときに今の“苦”を感じるのではなく、先の“楽”を予想できる力は、「自制心」を育む上で重要です。
子どもが守れるような小さな約束をしたり、ルールのある遊びを取り入れたりと、我慢できた時の喜びを学習できるようにしましょう。

②自分でルールを決める
「自制心」を育むためには、決められたルール通りに我慢をするだけではなく、自分で決めたルールを守る必要があります。
公園から帰る時間などは、子どもの意見も聞くようにしましょう。この際、親は積極的に交渉し、両者同意で約束を決めることが重要となります。意見交換は当事者意識を芽生えさせ、約束を守る大切さを学ぶことができます。
学校の宿題など子どもが主体となる場合は、自分でルールを決めることが重要です。例えば、「動画を30分見たら宿題をする」と子どもが決めたなら、そのルールにはできるだけ口は出さないようにしましょう。「30分でタイマーをかけたらどうか?」など、決めたルールが守れるようにサポートすることが、親の役割となります。

③自分で目標を決める
自分で“ルール”を決めるのは、「我慢のための行動」です。一方で、自分で“目標”を決めるのは、「目標のための我慢」となります。
例えば「学校の宿題を30分で終わらせる」ことを目標にすれば、(ゲームをする前の早い時間帯に済ませてしまった方が良い)と考えるかもしれません。宿題が終わったらゲームがゆっくりできると学習すれば、「我慢」の先の楽しさも待っています。
最初は、宿題という「我慢」をどれだけ早く終わらせるかという、苦からの脱出かもしれません。そこから徐々に、宿題と勉強、勉強とテスト結果が結びつき、結果から逆算した目標を立てることの大切さが理解できるようになります。そして目標達成ができたとき、成功体験を積み、自己効力感を上げていくことができます。

まとめ
自分で我慢できるためには、忍耐力だけではなく、自分で決めた目標のために我慢できる「自制心」の力が不可欠です。特にこれからの時代は、従順な我慢強さだけではなく、自分で意思決定し行動する力が求められます。
<我慢する力を築くポイント>
- 間違った行為はきちんと叱る
- 良い行いには感謝を伝える
- 親が模範となる
- 子どもの感情や欲求を満たす
<自制心の育み方のポイント>
- ルールのある遊びで「我慢」を楽しむ
- 自分でルールを決める
- 自分で目標を決める
子どもが自分で我慢できるように、ぜひ参考にしてみてください。
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